Mehmed fatihler sultanı 5話感想

オスマン帝国メフメト二世

年度末にトルコで統一地方選挙あったんですけど、エルドアン大統領が涙目な結果になってました。
このドラマにその影響が出るかわかりませんが、アヤソフィアを再モスク化したエルドアンのプロパガンダムーブもあってこその超予算潤沢ドラマかもしれないとは思っていたので、そこで多少は出そう…かな?
しかし個人的には、アヤソフィア博物館にしたケマルめっちゃ最高じゃん!ハッピーエンド!!派なので、水差したエルドアンはそろそろ退場してもろて…というぶぶ漬け気分ですな。リラ暴落しすぎて国民も可哀想すぎたしな。民主主義が機能してるテュルキエに胸熱!!ケマルも喜んでるで!!
世俗主義の野党政権になれば、西欧文化に寛容だった史実メフメト二世描写にも更に踏み込めるかもしれない希望も出てきましたが、このドラマのメフメトは現段階でもそこを削っているわけではないのでよくやっていると思います。

まあなんか時事的に政治的な話をしましたが、私はオスマン帝国のことは御伽噺の国だと思って気に入っているタイプなので、そこはよろしくお願いします。もう二度と復活しない国だからこそのロマンを感じてる。
というわけで歴オタの史実知識とトルコ語雰囲気理解でゴリ押しで書いている感想5話目です。

コンスタンティノープルパート

 おもろすぎる夢の邂逅でしたな!!
 いつかチャランティノスにメフメトに「オタクくんさぁ…」って絡んでほしいとか世迷い言いってましたが、速攻で回収されるなんて夢にも思わなかったぞ!
 アレクサンドロス大王に憧れていたメフメト二世は、もちろん彼の愛読書であるホメロスのイリアスも読んでいて、聖地巡礼するほど大好きでした。しかし引用されたのはオデュッセイアからだった模様。
“Men are so quick to blame the gods: they say that we devise their misery.
But they themselves- in their depravity- design grief greater than the griefs that fate assigns”
 しかしママがいないと何にもできない皇帝~もうビザンツ帝国はお先真っ暗~と民に煽られているコンスタンティノスを、知らずにメフメトがフォローいれてくれるとかマジで面白すぎないか???この脚本を書いた人めっちゃ好きだわ。後で気づくのがノタラスってのもおかしいんだが、このチャランティノスならまあ……事実陳列罪!!
 靴は英字幕見たら、あれトルコ製だったんすね……。買えよとか言ってすまんかったが、やっぱ経済活性化のためにメイドインオスマンでも買えよ。その懐の小ささは何や!?

 しかしこのように滲み出るどころかガンガン披露していく西洋オタクバイリンガルぶりに変装が意味なくなってるメフメト二世のコンスタンティニエ観光おもしろかったですね~。
 というか急に乱闘とクエストが発生しまくっている治安が世紀末コンスタンティ二エにめちゃくちゃ笑ってしまった。動じずに歩き続けているメフメトがまさにゲームプレイの挙動で笑う。でもアサクリでもこんなに治安は悪くなかったぞ!!(そりゃ孫のセリム1世の時代やし…) ストリートチルドレンに金貨握らせながら「希望を届けにきた」と、コンスタンティノスと違って商人設定は忘れてないメフメトがかっこいいっすね。
 しかしその流れで、なんとアヤソフィアも先取りで遠くから眺めてしまう…!!
 おいおいおいおいおいここは陥落後のご褒美シーンに取っとけよ!!と思いましたが、まあなんかすごい良い顔してたからええか…。完全に恋に堕ちた人の顔だった。バハルのときより恍惚としてなかったか?正直おまえのほうがピンクだよ!
 この1シーズン目って多分コンスタンティノープルに兵を率いてやってきたところで終わるんじゃないかと思ってるんですけど、この先見せアヤソフィアで確信しましたね。

 まあそんな感じでザガノス救出作戦とウルバン勧誘作戦と知らずに葬式RTAを同時並行でこなすメフメト。
 ウルバンはビザンツ側がクソなおかげで「復讐の方法なら私が知っている。私と一緒に来なさい」だけで十分でしたね。
 ザガノス救出作戦は、3人で奴隷解放もやんの!?無茶じゃね!?と思ったけど、奴隷たちも反乱してくれたおかげか余裕だった。おじさんの仇!と石でガンガン復讐してる黒人の男の子が好きだった。だからザガノスが連れて帰ってくれて嬉しかったな~。しかしトルコドラマの黒人キャスティングは自然で違和感なくていいよな。もうメリケンドラマは歴史系でも逸脱しすぎてめちゃくちゃだから、わたしトルコドラマ見始めた節があるよ。これで小人症系もキャスティングしてくれたら完璧だ、私の一次創作漫画を完全に用無しにしてくれ!

 そしてメフメトがマジで乗り込んできてることに気づいたビザンツ晩餐会メンツに、コンスタンティノスだけが見事なハブ状態でめちゃくちゃ笑ってしまったよね。オルハン皇子ですらいるのに!?平均年齢下げよ!?
 そもそもザガノスでメフメトを釣る捕獲作戦の発案者ってコンスタティノスだったような気がするんですけど、最後まで蚊帳の外の扱いに涙しました。でもこれはマザコン卒業親離れフラグとして計算された脚本なのはわかるので笑って見られます。最後ママにキレてる姿に安心しました。
 しかし前回チー付与の暗殺の母を目指してほしいとか冗談言ってましたが、マジで私が殺しますの暗殺の母してるじゃねーかヘレナママ!!アレックスを自らの手で始末つけててゴッドマザーにもほどがあるぞ!!
 なんかオルハン皇子がヘレナママにめっちゃ気に入られているのよくわかったよね…。国に忠誠を誓う人物というよりは自分に忠誠を誓える人物が好きなのがよくわかった。
 おそらくそこでコンスタンティノスは彼女と差をつけてくると思うのですが、そのわりにはコンスタンティノスは市井を回っても靴は投げる野郎に描いているからよくわかんねえな…。メフメトが乱入したせいというかメフメト上げでちょっとブレてしまった部分ですね。もうちょいコンスタンティノス描写は頑張ってほしいと思ってますが、あんまりこっちの共感度をあげると征服するメフメトに共感できなくなってくるので難しいところですね~。やっぱ塩野七生の小説はそのへんのバランスが良かったんだよなあと本当に思います。

 そして放置されたサルトゥクとハサンくんは危うく焼き殺されるところでしたが、まさかのウルバン参戦!!
 コルクトくんに続いてハサンくんも死なせてしまうのかとハラハラしましたが、そんな心配ないくらいハサンくんがクソ強かった件について!!突然のブッチャー無双に悲鳴をあげる我らでしたわよ!?いやオマエ剣の扱いも知らんって言ってたやん!?今の姿見たらハムザ・ベイもガクブルしながら採用書類の判子押すと思うよ!?
 まさかのサルトゥク以上にキレっぷり見せるハサンくんに、これはメドレセにもったいない逸材。アクンジュ就職が楽しみです!!サルトゥクと良いオリキャラコンビになってほしいな!!

エディルネパート

 初夜放棄したメフメトから「こんな辱めを娘は受けて、これがおまえらのやり方か!!」と誓いの剣を叩き折るイブラヒム・ベイを見て、史実ルートに戻ってきたーー!?すげえこの脚本!!と本当に感心しました。
 トルコ諸侯の中ではオスマンに最後までしぶとく抵抗してきたカラマン侯国なのですが、ここで個人的な動機もつけてメフメトとイブラヒム・ベイの対立の補強を入れてくるのはかなり上手い!!てっきりトルコ民族同士の対立を書きたくないのかと思ってましたが、隠さずにちゃんと向き合うみたいで面白くなってきましたよ!!このドラマはビザンツ側もカトリックとギリシャ正教徒の対立描写しっかり入れてるので、全てから逃げて嘘教えてるネトフリ版はもう完全敗北と言ってもいい。マジで映す価値なしに近づいてるぜネトフリ版は。
 まあそんなわけでギュルシャーちゃんは犠牲になったのだ……。一晩中ひとりぼっちで可哀想でしたね。ギュルバハルが部屋突撃したの知ってんなら、誰か一度様子見にこんかーい!
 オスマンに嫁いだ以上、ババもアンネも帰らなくてはいけないので、夫が一番の味方になってやるべきなのだが…。ムラトも息子の尻拭いしながら調子のいいこと言ってましたが、ヒュマの死でそれどころではなくなるのだった。しかし縁談を提案したハリル・パシャもさすがに初夜逃亡メフメトには「なにそれ知らん…」な反応してて笑いました。こういうところが猛獣扱いされる所以なんすかね…。

 しかしヒュマの死を一番悲しんでいるのはどう見えても親友のマラ様ですよね。異論は認めない。口答えするなムラト二世、俺は百合も全然いける女だ!!
 ギュルバハルに訃報を伝えるために頑張って顔を作ってきたのに、違う話されてなかなか伝えられずに少女のように泣き崩れてしまった彼女にグッときましたね。あのいつもキリッとしているマラ様が…。
 でもハリメには姫としての格を見せつけるシーンがあまりにもカッコよすぎた!!

 ヒュマを完全に亡き者にしようとハレムの慣習を変えようとかかるハリメに
「喜ばないことね、ヒュマが死んでハレムがおまえに残されたからって。おまえの悪意は知るところ、ハレムの人間はおろか陛下の心ひとつ勝ち取れない。ハセキ・スルターナという黄金の冠も黒貂の毛皮も得ることはできない。良心、善徳、忠誠。それらが陛下の望むものよ。ほら来てみなさい、支配してみなさいよ!陛下のお許しなくば、何もさせやしない!覚えておきなさい、ハレムでおまえの領域を広げれば広げるほど私の影も大きくなると!!」と啖呵きる姿がめっちゃステキ。言い方がスルタンの「地上に映る神の影」のフレーズを思い起こさせる感じでいいですね。
 しかし史実メフメトは二回目の即位の際にそんなマラ様をセルビアに帰すはずなのですが、このドラマだと帰らなさそう。出番減りそうだし、オスマン帝国外伝みたいにギュルバハルとギュルシャーの諍いを延々とやってるのもなあ。
 落ち着いたマラ様がギュルシャーに「バハルと一度話してらっしゃい。諍いを終わりにして、オスマンの淑女としての態度を皆に示すのよ」とか言ってましたけど、「私とバハルには何もないように思われますが、貴方様がそう仰るなら…」と答えるギュルシャーちゃんにめちゃくちゃ同意してしまった。ほんとだよぉ!!マラ様は自分がやれてないことを後輩に押しつけるのどうかと思うよぉ!?しかも普通ならバハルから売った喧嘩だからバハルから謝るのが筋ってもんだが、ギュルシャーちゃんのほうが新参者だからバハルを立てなくちゃならんのですね…世知辛え…。マラ様的には、ハリメ派っぽい娘よりは、親友ヒュマが連れてきたギュルバハルを贔屓するのは当然っちゃ当然すよね。
 表面上は大人の対応しながら「ブルサには行けないわよ。(誰からも教えてくれないなんて)誰も貴方に親切にしようとは思わないのね」と言うギュルシャーちゃんに、「あなたの親切なんかいらない」とか言っちゃうギュルバハルに、ああー…ああー……!!となりましたね。ハーブのこと語り合っていた二人には戻れないのね。ギュルシャーちゃん、あのころから気立ての良い子なのは変わってないのよ。せめてメフメトはギュルシャーのこの魅力にちゃんと気づいてほしいな…と予告に期待します。

ブルサパート

 ヒュマ葬式RTA、なんとか最後の最後ほうで間に合ってて笑ってしまった。
 でも日本だと最後に回ってきたお焼香にも間に合ってなくね???本当にギリギリ。
 しかしザガノスも参列できて良かったねえ。ハリルにはもっと二度見どころか三度見くらい反応してほしかったな。

 ムラトも初夜放棄息子を叱るどころではなく逆に許しを乞う始末でしたが…
 なんかさあ、ここで「許してくれるか?」って言うのはあまりにも卑怯じゃないですか?別に自分が後悔するのはいいんすよ、それを述懐するのもいいんですよ。でも父である以上に一国の長に「許してくれ」って言われてしまったら、もう気持ちのやり場なく「許す」の返事しか許されない。メフメトもさすがにそこでキレてて「母なら許したでしょうね」と答えたのは同情してしまいましたね…。
 その後、アクシェムセッデンの隣でグスグス泣いちゃうメフメト可愛かったな。家族にも腹心の部下にも妻にも悲しみを共有できない、ぼっちな征服王がめちゃ好き。トルコでも涙が出るなら止めずに流しきってしまいなさいという慰め方あるんだなあと思いました。そうだよなあ、万国共通よね…。
 しかしここまでアクシェムセッデンがメフメトの心の支えになっていると、ハリル・パシャのデルヴィーシュ火刑処刑と悪魔合体しないか心配になる。シッティ・ハトゥンの役割をギュルシャーに被せてやらせているドラマなので、やらなくもないんですよね…。まあでもドラマのハリルはそんな鬼畜の所業しなくても十分メフメトに嫌われてるから大丈夫か!

 そして抱擁拒否された親父も親父でハリル・パシャにベッタリしてて非常にムラハリでしたわよ!!
 ターバンこつんこ、御当地BL仕草!?とかなり萌えました。推しカプで描いていい?!
「私に何かあったらこの国はお前に任せる…」という親父は、やっぱり息子よりハリルのほうに信頼があるっぽいですね。まあ家庭崩壊おじさん的には職場仲間と過ごした時間のほうが長いものね…。ハリルもハリルで、ムラトにまた皇帝業を放棄されると次はマジで命がないので必死になりますね。「本当にメフメトがコンスタンティニエで生きてるかわからんし、神がムラト陛下にアズラエルを送ったら都は生と死の混沌に包まれる」とか言ってて、謀略キャラにしては運と情に任せるしかない辺りが本当に焦ってる感が出てますね。
 イサクも当然メフメトが再び即位したら次はないとわかっているので、ブルサに行ったハリルを待たずして、クルチュ・アーと組んで自作自演を試みるのであった…。

イェニチェリパート

 えっなにこの唐突なストリップショー!?!?!?
 一応不正行為を働いたイェニチェリを自ら懲罰する自浄作用が働く集団でビックリしたわ。でも林檎泥棒の手こそ切り落とすのが一番だって、ジャスミンの手を切り落としにかかったアグラバーの商人も言ってる。

 どうもイサク・パシャは自作自演でメフメトの窮地を救って恩を売りたいようですが、メフメト自体が強すぎて計画が頓挫するの可能性がちょこっとあるのが末恐ろしいファーティフであった。このドラマ以上に強いメフメトって二度と現れんだろうなあ…。2対1でも基本余裕なのがマジかっけえ!!
 今までいいところなしだったザガノスじいちゃんもやっと大活躍してて嬉しい。未来の大宰相やぞ!!
 シャーベッテンが負傷したことで守りながら荒くれ者の撃退はハードモードになったことで、イサクもようやく登場できたという。よかったね。イサク地味に強さを見せつけてるから、来週も楽しみです!!

Posted by tiriw

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