Mehmed fetihler sultanı23、24話感想

オスマン帝国メフメト二世,オスマン帝国

地味に今年は日本トルコ外交関係樹立100周年記念なので、
出光美術館でトルコ展が今やっています!!
関東民は足を運んでみてはいかがでしょうか?

私は地方民で、最近咳喘息が止まんねえので、ちょっと今回諦めてますね…
せめて図録は手に入れたいと思ったので通販をそのうち頼みますわ!!
それにしても日本トルコ外交100周年記念のラーレと桜のロゴめちゃくちゃ可愛いので、普通にグッズとして色々売り出してほしかったよね。トートバッグとかほしかったな。

23話感想

 ついにオスマン帝国、ねんがんのコンスタンティノープルに出陣!!

 行列シーンのBGMが色々ありましたね。みんなもよく知っているメフテル・ハーネも流れてましたし、その後に流れていたギター行進曲は初めて聞くもので気になったな。歌詞気になるぜ。ビスミッラーだけはさすがに聞き取れるけども!
 メフテル・ハーネの名の通り、戦争で威嚇行為に使う軍曲はメフメト二世から本格的に使うようになったらしい。欧州人はこれを聞いてオスマンの進軍に恐れおののきながら、モーツァルトはかの有名なトルコ行進曲を作曲していたのであった。しかし実は今よく聞くメフテルは近代に作曲されたもので、かつてオスマン帝国全盛期に戦場で轟いていたメロディーはとっくに失われてしまっている。なぜかというとオスマン帝国は芸術分野では特に紙で残さず口伝で後世に伝えていくスタイルだったから。それにオスマンは活版印刷技術が遅れていたんですよね、宗教上の理由とか書道家が食いっぱぐれるとかラテン式の欧州活版印刷機をアラビア文字だからそのまま使いまわせねえとかそんな理由で。そしてイェニチェリ解体、ムスタファ・ケマル・アタテュルクによる帝国解体により、ついに何の資料も残らず歴史から消えてしまったのだ。だから下手したらモーツァルトのトルコ行進曲のほうがかつてのメフテル原型の面影があるのかもしれないという悲しい事態になっているわけだ。
 まあそんな事情はさておき、この行軍の様子を実際の目でちゃんと見ていたトゥルスンの記録は残っています。やっぱ紙媒体は記録としては最強なんだよね。めちゃめちゃ美文に書いてあるので、気になる人は『征服の父 メフメト二世記』を一度読むといいと思います。最近出た本なのでまだ普通に売ってます。

 しかしドラマではかなり随所でイスラム教を絡めて『圧制者からの解放』という体で征服の正当性をぶちあげてますが、個人的にはメフメトの「あの街をください」が全てだったんじゃ?と思いますね。親父に愛されなかったメフメトの承認欲求が異様に爆発し、たまたま運良く上手くいっちゃった結果が、コンスタンティノープルの陥落。ひとりの君主のわがままが歴史を動かした、私にはそう見えます。
 赤の他人からすれば征服の正当性に疑問を持ちますが、今もそこに住むトルコ国民にはやはり必要なもので、向こうではこういう理屈で歴史教育されているんだな~という一端がドラマから見えてくるのは興味深く思います。

 一方、コンスタンティノスは戦が始まる前に君主としてえらいカッコよく覚醒していたのだった。
 「おまえたちの目の前にいるのは皇帝コンスタンティノスではない、この街に住むひとりの者として言う!全てを脱ぎ捨てて、私はこの街のために戦うと心から誓う!問おう、マヌエルの息子コンスタンティノスと共に戦う者は誰だ!?誰がいる!?」
 シーズン1ではチャランティノスだったのに、今では見違えるように威厳が満ち満ちている!いいぞ!でもまた脱ぎだすから前回のアンナちゃん事案未遂を思い出して若干身構えてしまったぞ。好きなのか、ストリップショー不意打ち演説?
 ぶっちゃけこれから陥落するので逃げなかったほうが地獄の日々なんだよね…。悲しいな。でも戦わなければ国が地図から消える。難民としての生活がどのみち待っている。なので、戦って抗うことを選んだ人々を今も昔も尊敬しますね…。
 枢機卿が殺されて離反しかけていたジュスティニアーニへのお悔やみ演説は愛で説き伏せてしまっていましたが、おまえが愛を語るか~~とちょっと面白かったですね。というかアンナちゃんの気持ちがジュスティニアーニにあることをわかるくらいの恋愛偏差値は持っているのが正直意外だった。じゃあマラ様のあの断固たるお断りムーブを意に介してなかったのは鈍感なんじゃなくて、やっぱりそこそこ本気でめげずにアプローチしてただけだったのか…。意外だ。

 あとジュスティニアーニがオルハンに直接「ムスタファーはオスマンのスパイだぞ」と言うシーンもありましたね。
 それに対し「おまえがオムツを履いてた頃、私は木刀片手にこの庭で遊んでいたのだ!父祖と共に戦った!誰もかれも裏切り者呼ばわりするのか!」と怒って反論していてオルハンはかなりビザンツ育ちアピールしてましたね。つまりドラマのコンオルってもしかして幼馴染って言っても差し支えないってこと!?えっやだ萌える……
 そしてコンスタンティノスも剣を収めるために「オルハンもムスタファーの忠誠も私が保証する」とか言ってて、えっやだコンオルの確かな絆じゃん……と萌えましたね。
 カラムスタファーはコンオルに生かされている。それを噛み締めてくれよな!!

 弟のデメトリオスくんは復讐マシーンとしてハムザだけでなくマルコチョール・バリ・ベイの命も取らなきゃ気がすまないらしく、枢機卿殺しの冤罪で処刑されかけていたノタラスも誘って、シャーヒン大砲襲撃に成功。ビザンツ的にはあまりにもファインプレーすぎるぞ。つよい!
 史実だとオスマンの大砲は確か酷使の末の大爆発だった気がしますが、ドラマだと異教徒の襲撃で完璧に作った大砲に傷がついてその事態が起きてしまった!イスラム側は何も悪くねえ!!という作劇になっており、うまいことやったな~と感心しましたね。確かに今まであれだけアッラーにビスミッラーしながら作った大砲が疵のある失敗作とか認めるのは難しいのかもしれませんね。最近NHKでやっている『チ。地球の運動について』というアニメも同じ時代設定の歴史アニメなんで、そっちでもそんな感じのノリを見せつけられてますが、一神教徒ほんま完璧主義者すぎて生きづらそ(身も蓋もない無神論者コメ)
 しかしウルバンさんはちゃんと上司にミスを報告できる良い部下なのだが、上司の頭は既に戦争ハイで狂っていたのだった…。というか普通、大砲が到着してから戦争始めんの!?なんで待ちきれなくて先に歩兵を突撃させてんの!?ちょっとよくわかりませんね…でも望遠鏡を覗き込むだけでスタイリッシュかっこいいセルカンメフメトに見惚れててどうでもよくなりますね!きっと兵士もパシャもそう!
 そんな持ち前の驚異的な士気ぶちあげスキルをここでも発揮して、周りをも熱狂の渦にまきこんで無理やりアテシュ強行させにかかるメフメト。なんか某復権派のノリを思い出させなくもない。なぜなら俺たちはアッラーを信じている!!うおおおおおおお!!!!!(進撃の巨人)
 そして現場猫が起きてしまったのであった。
 必死に事故が起こらないように説得していたウルバンさんが一番ダメージでかい結末…あまりにも悲しい。

 しかしその現場猫シーンに、アイテキン・アタシュのVar Git Ölümがそのまま流れていて驚愕よ!!
 オスマン帝国外伝シリーズの『キョセム』で、ムラト四世の妻アイシェが子どもたちと服毒心中したときに流れていた曲です。前にもスレイマンの息子ムスタファ皇子の死に流れていたZahit bizi tan eylemeが流れていましたが、一応それはこのドラマが改めてMIXした独自のものだったので、なんでこれはそのまま流してるんだ!?わざわざ権利許諾とってきたの!?とか色々気になります。トルコの権利許諾システム。

24話感想

 ウルバンさんが死んだことに「私のせいだ!私のせいだ!」とめちゃくちゃ責任感じているサルジャ・パシャの姿が辛すぎる回でしたね。
 現場猫を強要したメフメトが立ち直るよう発破かければ、馬車馬のように働いてアクシェムセッデンに心配されていて……。わかっていた姿でもあるのですが、本当にウルバンとサルジャ・パシャの仲良しホワイト職場に癒やされていた身としては全てが粉々に打ち砕かれてつれーですよ。メフメトのせいだ!メフメトのせいだ!このブラック上司!!
 そんなメフメトも危うくアフメト皇子に呼ばれて三途の川を渡りかけていましたが、引き止めたのが現実で必死に心配して声掛けしているパシャ軍団の声でなく、愛する妻や子どもたちの姿でもなく、アヤソフィアなのがめちゃくちゃウケて爆笑してしまいました。
 コイツまじで筋金入りでアヤソフィアが生涯の恋人だよ!!メフアヤこそが絶対運命黙示録の公式カップリングだってトゥルスンも書き残している!!

 心中より彼女を忘却すること求めらる。
 しかれど我が賦性は斯く言う者を拒否す。
―ーメフメト二世、心の俳句

 そんなメフメトに征服をやめるように今回派遣されたプラトンでしたが、まあ無理っすよね。理屈で征服やってねんだよ、このファーティフさんはよ。恋に狂った若者は盲目、聞く耳持たず、手が付けられない。
 それでも「今ならオルハンつけます、デメトリオスくんのモラもつけます、お金もあげちゃいまーす!」とめっちゃうまい条件揃いなセールストークにパシャ軍団はめちゃくちゃ心揺らいでましたね。それに対しメフメトは「コンスタンティノープルが陥落してしまえば、モラなんかいつでも取りにいける」とか返してましたが、史実では本当にそうなります。ドラマでは頑なに存在をなかったことにされているスーパーサイヤ大宰相マフムトさんの手によって。なぜ彼がいないのか、ドラマが面白いだけに本当に寂しくって残念な気持ちになります。
 そんな感じで相変わらず身内からロクな扱いされていないデメトリオスくんですが、なんとメフメトが「おまえの妻を殺したのはコンスタンティノスなのだ。自殺ではなくロレンツォが下手人だ」と驚愕の真実を話すのであった。
 マジで!?全然そんな素振りなかったと思うけど!?しかもあのロレンツォ父さんが!?そんならその情報をスパイから既に握っていたメフメトがロレンツォ父さんを一旦オスマンに迎えていたのはどういう算段で???とか聞き返したくなるから、これも謀略ゆえの嘘かもしれないと私は疑うかもしれませんが、とにかくデメトリオスくんは信じたのでオスマン陣営にあっさり鞍替えしてましたね。確かに妻の件は一旦保留にできる余地があるが、息子が亡くなったのは間違いなくザガノスのせいなんでメフメトはそこでは言い訳できねえししてないが、デメトリオスくんは気にならないのかな…。この人、あまりにも政治の駆け引きができない。さすが兄コンスタンティノスがかつて交渉という概念がなさすぎて唖然としていただけある。
 まあデメトリオスくんは母や兄から受けた仕打ちがもう積み重なりすぎてビザンツ自体が嫌になっているってのもあるんで、メフデメ!もうメフデメで娘ともども生涯面倒みてもらおう!それが史実なのです!!
 しかしそんな感じであっさり許されたデメトリオスくんに納得できないのが、彼に散々被害を受けてきたマルコチョール・バリ・ベイとクルチュ・アーですが、まあアクンジュは結局ハサンくんもハムザも生きていたからええやん…と思ってしまいますね。名もなき殉教者たちにはお悔やみ申し上げますが。

 そう!生きてるじゃん!!ハサンくんもハムザもよ!!
 やはりトルコお国柄過剰演出に過ぎなかったのか…というハサンくんのピンピン具合には笑います。これからコンスタンティノープル陥落という一大イベントに参加できないなんて可哀想すぎるだろと思っていたので、無事に兄貴分のサルトゥクと合流できそうで本当に良かったです。いいよ!生きてれば全部丸儲けよ!!
 しかしハムザのほうはなぜ生かしているのか、よくわかりませんね…。ルメリ・ベイレルベイとしてはもう仕事できねえから、ハリルやザガノスに後釜の話もされてるわけですし。そこそこ役割をこなしているエヴラソール・アリ・ベイより更にキャラが迷走してると私は感じているので、デメトリオスくんにハムザが死んだのだからこの件はこれで手打ちにしようで退場のほうが絶対良かった気がするんだよね…。
 しかしここが私の愛しのマフムトさんの出番が期待できるラストチャンスだったわけですが、なぜかミハイル・ベイだとかフェルハト・ベイだとかのマイナー史実キャラだったりオリキャラだったりが出てきてズコー!とめっちゃ肩透かしでしたよ。せめて本来のルメリ・ベイレルベイであるカラジャ叔父さんパシャをお出しするのが筋ってもんでしょうがよ!!このドラマ、いったいどんな本を読んで時代考証してんの!?マフムトさんは彼だけで一冊洋書も出ているレベルの人なんだけどね!?
 まあとにかくフェルハトのほうはプラトンの息がかかっているハーインみたいですが、デメトリオスくんを手土産に連れてきたのでメフメトの印象は良いでしょうね。しかしカレンデラーと仲良いシーンあってハリルがいつもの御伽噺ムーブで圧力かけてましたが、カレンデラー怪しくねえか?クルチュ・アーもハリルと仲良くしてるから信用できねえって感じの態度してますが、フェルハトと会話してるシーンでそもそも彼はビザンツ側の人間かもしれねえと私は思いました。イェニチェリにスパイいるのは考えにくいですけど、アクンジュの裏切り者がいるんだからもうなんでもありやね。

 まあ結局ビザンツ側の大砲もドカーンとなって痛み分け(?)となったわけですが、タイミングいいな…とそっちに気を取られちゃいましたね。まるで打ち合わせしたかのごとくプラトンにピッタリご披露できたね。
 世間知らずでやや生意気な新人エヴラソール・アリ・ベイの息子がこの仕事を成し遂げていましたが、そんなこと知らずに部下が殉職したな…とお悔やみ申し上げているババの今後の反応が気になります。というかコイツ、結構若い息子がいるのにアフメト皇子殺しをやったのか…。どんな心境で見守ったらいいのか相変わらず困るキャラである。
 それにしてもデメトリオスくんが連れてきた親子が作っていたのは、失われしかのギリシア火薬!?と思っていたのですが、プラトンが大砲爆破ごときでショック受けてたからちょっと訳がよくわからなくて私もこのへんの流れがよくわからない。でもイスラム側の包囲をビザンツが退けていた必殺兵器がギリシア火薬なんで、出てきたら面白いですよね。史実ではもう失われし技術だったんで、コンスタンティノープルは陥落したよ。まあドラマでもその事実を覆すことはなかろう、トルコドラマだからなおさらね。

 そしてコンオルが一緒に食事しながらそんなプラトンの交渉を話していて、「(交渉材料に売ったのは)オマエだよ」とズバッと言うコンスタンティノスがあまりにも面白すぎましたね。すげえ!この蔑んで目が座った顔!!たまらないよ!!
 まあ先週コンオルにときめいた私の気持ちはいったい…と思わないでもないですが、オルハンはもうそういう扱いされてもしょうがないくらいお荷物ですからね。ぐうの音も出ねえってやつだ。しかしコンスタンティノスは同じく血縁の弟も一緒に売り飛ばしてるからな。有能無能はもう関係なく。だからそこまで傷つかなくてもいいと思うよ。
 しかしコンオルの関係性ってなんか面白いですよね。まさしくこれこそが腐れ縁ってやつじゃないですか?それ以上でもそれ以下でもないけど縁切りには絶対に至らない彼らだけの関係がそこにあります。私はなんだかそれが好きです。次回予告で相変わらず一緒にいるしね!来週も楽しみです!

Posted by tiriw

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