平たい地球シリーズを元ネタにしている作品リスト
ぷよぷよ及び魔導物語
亡きコンパイルが世に出した落ち物パズルゲーム『ぷよぷよ』の世界観は、元を辿ると同社が出していた『魔導物語』というRPGである。
その『魔導物語』の原作者である米光一成が、ブログにて、
“サタン様とシェゾのモデルは、大好きなファンタジー小説タニス・リー『闇の公子』(大傑作なのでぜひ読むがいいよ!)”
と明かしている。
サタンさまがアズュラーンをモデルにしているのはわかりやすいが、シェゾはシヴェシュやヴァイイと言ったネーミングを参考にしてるとのこと。キャラクター性についても『死の王』から登場するジレムの影響が窺えるので、シェゾファンは『死の王』まで読もう。
『ぷよぷよ』での彼らはコメディに振り切っているキャラづけだが、初期に作られた『魔導物語1-2-3』での彼らはとてもモデルの面影が残っている。最近復刻された『魔導物語きゅ~きょく大全1-2-3&ARS』を遊ぶと特に実感できるだろう。
MSXの登場人物紹介では、まさにアズュラーンのキャラそのままに紹介してある。
“闇の貴公子。どんな姿をとることもできる。
黒い大鷲になり世界を飛翔し、闇に呪いの言葉を発する者を見つけ、その運命を弄ぶのが趣味。妃となる魔導師を探している。”
また、作中の「サタンさまを愛した者は決して幸せになれないんだよ」というセリフは、元ネタのアズュラーンを最も意識したものの一つである。そのセリフがほぼそのまま『闇の公子』にあり、アズュラーンが愛した者は最終的にことごとく破滅している。
そして魔導物語でアルルに求愛し拒まれたサタンさまが最終的に「死ねえ!」と物騒な一言を発する流れも、アズュラーンとビスネの流れに因むのかもしれない? ビスネは唯一アズュラーンの誘惑を跳ね除けたキャラだが、彼女もやはり破滅した。
しかしアルルにはタイムトラベルを駆使しサタンを倒すエンディングが用意されていたことが、2020年の動画配信の語りにて明らかとなった。これはタニス・リー『闇の公子』ではなく、山田正紀『チョウたちの時間』を参考にした結果の展開とのこと。
シェゾに関しては、言及されていないものの、『魔導物語ARS』にて最後、豹変に近く闇の魔導師の運命を受け入れた姿にジレムの面影を何となく感じ取れる。
シェゾの『誰が好きこのんで悪者になるかよ!』という叫びは、まさにジレムというキャラクターが生涯向き合い続けてきたテーマなのである。
シェゾの運命の行く先はファンなら誰もが気になるところなのだが、私は『熱夢の女王』の最後まで読んだとき、そのときの彼の胸中、そしてその運命の辿り着く先も見えて、とても感無量になれた思い出です。なので、シェゾファンはぜひ頑張って『熱夢の女王』まで読むと幸せになれるかもしれません。
なお、この記事を書いている人は、魔導物語なくしてタニス・リーファンにもならなかった人なので、元ネタを紹介してくださった米光氏にはとても感謝しています。
素敵な本を紹介してくださって、ありがとうございました。
サガフロンティアのアセルス
スクウェア(現スクウェア・エニックス)が出しているRPGタイトル、サガシリーズのひとつ。
主人公のひとり、アセルスのストーリー及びその主要キャラが平たい地球シリーズを元ネタにしている。
ただライターのナマデンが元ネタの存在を隠してオリジナルと詐称しているらしいので、いっそパクっていると書いてやるのが礼儀かもしれない。
アズュラーンをモデルにしているオルロワージュは妖魔で魅惑の君とも呼ばれており、彼のアセルスに対する態度もアズュラーンがアズュリアズに対するそれである。ラストバトル前のセリフは特にそのまま引用レベルである。
他にも妖魔キャラが何人かいるが、ゾズマのモデルはおそらくチャズである。それと、平たい地球シリーズでは最後の闇の君はタニス・リーが亡くなったことにより永遠の謎になってしまったが、この作品では時の君で登場している。
ちなみに、ディレクターの河津秋敏もタニス・リーの読者であることを明かしていて、『サガフロンティア』以外のシリーズ作品でもちょくちょくネタ帳にしている節がある。
特に『ロマンシング・サガ3』のラスト、平たい世界が丸くなる演出はタニス・リーファン的にはちょっと胸熱なところである。
魔天道ソナタ
天城小百合の書いたBL系少女漫画。全20巻。
天使と悪魔の話ではあるが、原作者が平たい地球シリーズの読者と明かしており、悪魔側のキャラクター造形がとても似通っているところがある。
特にベール周りはアズューシャという名のキャラも登場しているせいか、とても平たい地球テイスト。
サタンとベールの最後のやりとりは、アズュラーンとハズロンドの関係性を彷彿とさせた。
そもそもこの漫画は宇宙の蒼というものを巡る話なのだが、アズュラーンという名がアズールから来ていると思われるので、そのへんもリスペクトを感じて良い作品です。
画像は魔天道ソナタの14巻から
小説 ドラゴンクエストⅣ―導かれし者たちのピサロ
久美沙織の書いたドラゴンクエストⅣのゲームノベライズ。全4巻。
このゲームのラスボスである魔族の美青年ピサロが、ノベライズ作者の趣味により非常にアズュラーンめいた立ち振舞いをしている。具体的に言うと、ロザリーをシヴェシュなみにお持ち帰りして愛でたり、突然出てきた婆を無慈悲に雷で殺したり、黒い禽に変身したり、吹雪の声を発したり、猫を特別可愛がったりと、枚挙に暇がないほどそれらしい描写には事欠かない。
ノベライズ作者のホームページでは、
“わたし自身がこのゲームをプレイして一番好きだったのは他でもなく美形悪役キャラのピサロさまだった。彼を愛していたので、タニス・リー描くところの『闇の公子』アズュラーンさまや、マイクル・ムアコック描くところの『メルニボネの皇子』エルリックさまに匹敵する出色キャラにしてさしあげたかった。”
と述べている。
ちなみにゲームだけプレイした限りでは、ピサロがアズュラーンをモデルにしているとはあまり感じなかったので、ドラゴンクエストの生みの親でありシナリオライターである堀井雄二はよくある悲劇的な魔王のひとりとして書いたのではなかろうか。何より、ピサロはどうあがいても人類を破滅させたいキャラであり、自らを犠牲にしてまで人類を守ったアズュラーンとは本質が真逆なのである。
随時情報募集中!
他にもアズュラーンなど平たい地球シリーズをモデルにしている作品に心当たりがあれば、ぜひコメントでご一報ください!ソースもあるとなお良いです!