ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い感想
PJ監修!ロードオブザリングシリーズの新作アニメ映画です。
指輪物語のアニメ化って実は今作が初めてではないんですが、そのラルフ・バクシ版に次ぐ2作目のアニメ化に日本が深く関われたのはやっぱり嬉しいですね。私はアニオタでもあるので、やっぱり日本はアニメの国としての誇りを持って生きています。あの長いスタッフロールに日本人の名前がたくさんあって、眺めててめっちゃ感無量でした。
ほんとうはもっと早く年末年始に見に行こうと思ってたんですが、今ここでインフルエンザに罹患したらマズい予定があったので念には念を入れて人混みを避けた結果、結局見に行けたのは最終上映になってしまいました。
当然もう字幕版などなく吹替版での滑り込み鑑賞になってしまいましたが……
そこで人生初!貸し切り映画館を達成してしまいました!!
もうそれだけで嬉しくってテンションあがって、非常に寛ぎながら鑑賞できて最高でしたわね!!
まあこれが田舎のメリットとは言え、興行成績的にはこういう貸し切りが発生するのはマズい事態ではあるんですが……検索したらわりといて戦慄しちゃった……
あのロードオブザリングシリーズで日本製アニメ映画だからこれ辛うじて日本でも上映してくれたと思うんですけど、今回の興行成績で次のいつかくる新作で日本スキップされないことを超祈ります…
一応私はシルマリルまで読んでいる深めなトールキンファンではありますが、History of Middle Earthとかの設定集までは読み込んでない半端なオタクなので、ここらあたりのローハンの知識は私もWikipediaくらいしかありません。そんなやつの感想ですが予めご了承ください。
全体的な感想
で、肝心の感想ですが……
この映画、めちゃくちゃ評価が難しい映画ですね!?
面白いと思った瞬間、熱くなれる瞬間は何度か確かにありましたが、それ以上にプロット練り不足じゃなーい!?フィリッパ・ボウエンさん!?とツッコミたくなるシナリオの粗さも多々目につきました。なので面白い映画とも面白くない映画ともどちらも自信もって言えない感じなんですよね…。しかも加点方式で見るタイプも加点ポイント入れたくなるようなシーンがあまりない映画とは思うので、アメリカとかで思ったより渋い評価になっているのはわかる気がしますね…。見る人の度量の大きさによって評価はめちゃ分かれると思いました。
まあそれでもアマプラのサウロン製実写ドラマ力の指輪シリーズに比べればローハンの戦いは断然マシ!!とは全会一致で断言できる感じではあるので安心してください!!
ちなみに私はトールキンファンなので、PJとアラン・リーとジョン・ハウの作り上げたあの世界観にハワード・ショアの音楽で再びダイブできた時点でかなり満足を覚えてしまうタイプなんで、見れて良かった!!という結論にはなりますね。
あの中つ国の魔法にかかるかのような導入、本当にすばらしかったですね。字幕版だとエオウィンの人のナレーションなので更に没入感が上がったでしょう。私もいつか字幕版で見直すぜ。
スタッフロールを見たところ、背景美術はあのテレコム・アニメーションフィルムが担当していて、実写映画で撮られたローハンの風景の再現度がかなりよかったですね!さすがジブリ御用達の名スタジオや!!私はルパン三世ファンだから今でもテレコム見かけるたびに嬉しくなってるぞ!!今季アニメだとアオのハコも作ってて驚いたぜ!!
あと私はアニオタなので、ローハンの戦いのキャラデザは本当にめっちゃ好みにぶっ刺さって大好きですね!
ヘラが本当にめっちゃ可愛いし、お兄ちゃんたち叔父さんウルフもカッコいい!!ファンアートめっちゃ描きたくなる!!実際私はトールキンファンアートを描いてきたオタクだからわかるんですが、あの実写の世界観を損なわずにアニメとして再構築されたキャラクターデザインがうまく溶け込んでいる感じ、本当に素晴らしい出来だと思いますね!!オタクが好きな感じでもあり、オタクじゃない人もまあこれくらいなら見れるわくらいな絶妙な感じ、神がかってる!!エロ御用達の士郎正宗の描いた『攻殻機動隊』をブラッシュアップして実写寄りにクールなアニメへと落とし込んだ神山健治の手腕が一番出てる部分だと思うな!!
これでもパンピーがオタク臭くて無理…とか言い出したらさすがに潔癖症かとツッコミたいすね。そう、おまえら欧米の古参トールキンファンのことっすよ。おまえらの国の頭ポリコレブームのせいでアニメでしかこの美男美女キャラデザ通せなくなったんやぞ。むしろ感謝してくれよマジでこの案件を引き受けてくれた日本アニメスタジオによ、日本アニメ業界も暇じゃねえんだよスタジオの奪い合いでさあ!(推し漫画のアニメ化には毎度一喜一憂するオタク)
とにかくこの映画は見てて眼福だし音楽もハワード・ショアを踏襲してて遜色ない良BGMで雰囲気づくりは完璧!!なのは間違いないので、それでシナリオのヘボさがある程度誤魔化せるところが強いっすね。
絵と音楽の力はすごいんだ!!有象無象ポリコレ映画がこれらを捨て去って誤魔化しが効かなくなった結果ボコボコに叩かれてるのは当然の結果である。
まあトールキン映画なのにシナリオが何かヘボいというのは問題だとは思っています。
事前に吹替ウルフ役を担当しているツダケンの苦し紛れインタビューを読んでいたのである程度覚悟して鑑賞に臨みましたが、いやー…ツダケンはよく頑張ったよ!!と言いたい感じのキャラ造形で涙しましたね。選択肢はなかったものの、正直ローハンの戦いは吹替で見れて良かったと思いますね。多分ウルフはツダケンパワーがなかったら見れたもんじゃないでしょ。それに予告のときから英語版のウルフなんかちょっと棒読み臭くね!?とか思ってましたから…。吹替版鑑賞と字幕版鑑賞で、きっとかなりキャラの印象が違うんじゃねえかなあと思ってます。まあどのみちなんだこのガチでパッとしねえ悪役は…なので、物語も一緒に格落ちしてしまった印象です。ロマンスとしても悲劇としてもカタルシスが微妙…私もそう感じているのでシナリオについては冴えない評価を厳しく下します。
まあヘラとウルフについては後々でまた詳しく語るとして、兄貴たちの死に方が不自然すぎたのが一番引っかかったかなあ…。特にハマを置き去りにしていく臣下たち、あり得る!?普通は自分の乗っている馬を貸して何としても王位第一後継者を逃すもんじゃないの!?まあハレス・ハマは原作通り死ななければフレアラフ叔父さんに王位継承権が行かないので何処かで殺さなければならないのですが、ハマはちょっとありえないくらい間抜けな脱落の仕方でひどい。せめて普通に決意させて殿させろよ…。
一方で人外じみているヘルムについては、アニメ映画で一番恩恵受けてるキャラクターだと感じましたね。一発KOも、夜な夜な拳でストリートファイターしている姿も、最期のラオウポーズENDも、実写だとアホくさすぎる姿になっていただろうがアニメだとむしろこの非現実っぷりがピッタリ合ってる!!という奇跡。このアニメ映画は彼のためにあるようなもんだ。
しかしまあそれを加味してもだ、個人的にはなんでヘルム王の時代をアニメ化しようと思った?という疑問がやっぱついて回る映画ではありましたね。発表当時から言ってますが、やっぱり初代エオル王とゴンドール執政キリオンのエピソードのほうが盛り上がったんじゃない!?あの縁がセオデン王のミナス・ティリス参戦に繋がるんだしスタッフロールでもバーナード・ヒルに捧ぐんならなおさらエオルの時代のほうが相応しかったじゃねえかよおおおおおおお!!!!!!!!!と貸し切り映画館で叫びたくなりましたね。
まあエオルだと「エオルの子らよ!!」の士気あげ口上ができねえじゃねえか…ということにはなるんですが、まさかそれだけの理由で避けたとは思いたくないがありそう!!
まあ色々言いましたが、ヘラちゃんの物語としては最低限上手いことまとまってるので、楽しく見れる感じではありましたね。それでもトールキンファンの私としては色々言いたいことあるけども、ポリコレにしちゃかなり良いポリコレに昇華して仕上がっているのでね!!個人的に製作にポリコレ縛りを受けた中じゃ一番よくやってると思うよ。ヘラに好感触を抱いたまま見終えることができたからね!
終わり良ければ全てよし!!って感じにつきます。直系が死に絶えてフレアラフ叔父さん継ぐ展開は実父の記憶のないトールキンのお決まりプロットなので、トーリンたちに続いてまたかよと思っても諦めろ。これがトールキン式ハッピーエンドなんだ。そして最後のイスタリ組ファンサービスもよかったですね、ここは本当に字幕版で見たかったわ。クリストファー・リーの録音音声使ってたみたいなんで!!
家から解放されて思いがけない冒険に出かけていくヘラはベタにもほどがあるけど王道でいい最後だ。こういうのでいいんだよこういうので、まさにこれに尽きる映画である。昔はお前のような冒険者だったのだが、膝に力の指輪を受けてしまってな…。
そんな感じでPJのロードオブザリングが大好きな人達へ向けて作ったファンサービス映画としては満点の出来はしていて、アニメ映画なのに実写映画っぽくスケッチと共にキャスト表示してるその徹底ぶりには顔が綻んだほどでしたね。
エンディングソングももちろん最高でした!!
ヘラとウルフについて
ぶっちゃけこの二人はもっとロマンスに焦点当てたほうが映画として面白くなれたんじゃないかと思うともったいない二人でしたね。
ポリコレ的に結婚が女のゴールだとマズいって感じでヘラのロマンスは忌避された結果に終わりましたが、ルーシエンがベレンと結ばれるために奔走しアラゴルンもアルウェンと結ばれたいがために奔走するのがこの中つ国の世界じゃないですか。男は必要ない女というコンセプトは確かにポリコレ的には正解かもしれないですけど、トールキン世界観的には不正解に感じるんですよね!私は!!
トールキンの世界観では女性キャラのロマンスって結構重要だし尊重するべき要素なんじゃないですか?トールキン自身が大恋愛結婚してるんだから、恋愛についてもかなり重きを置いてる世界観だと私は思っているので、ヘラにその要素だけ欠けている女性なのは何か違和感がある。彼女のキャラ造形において意識しているエオウィンだって戦いながらもアラゴルンを愛し、ファラミアを愛した女性だったでしょう。そもそも!愛情深き女性を応援したくなるのは人種の違いを超えて性差も超えて人類皆が持つ価値観でしょ!?キリスト教が女神崇拝を破壊しまわっても結局聖母マリア信仰してんだからどうあがいても覆せてないじゃん!?だからこれは人類が恒久にわたって持つ普遍的価値観であると女の私自身も確信していて、そこはいくら頭ポリコレでも肯定すべき部分なんじゃないですか!?と言いたい。
まあとにかく何かこの単純なポリコレ配慮が返って原作世界観ファン的にはかなり浅慮に見えて、おいおいおいそのキャラ造形は何か違うだろうがよ~~~ってめっちゃ文句言いたいっすね。
まあでもフィリッパ・ボウエンも本当はそう思っていたのかもしれない。花嫁衣装での決闘は何かその名残が見えなくもありませんでした。十中八九ウルフへの当てつけだろうけども。
ちなみに私はヘラとウルフがくっついて終わってほしかったという単純なカプ萌え思想でこう言ってるんじゃありませんよ?
そりゃヘラがウルフをお断りする理由は同じ女としてめちゃわかりますからね。
ウルフからしちゃ愛からヘラを求めたと思い込んでいるようですが、本人が自覚してないだけでその実は全然そうじゃありません。彼は幼少期に男なのに女のヘラに腕っぷしで負けたコンプレックスを抱えている。だから政略結婚という形で家督的に優位に立とうとし、その傷を癒そうとした。ヘラが後に「私があなたと結婚すれば平和に丸く収まるのね?」という申し出すらも、ウルフは上から目線と感じて跳ね除け、傷つけさえした。ここがもう決定的に、愛から一緒に結ばれたいと思っている男の姿には断じて見えません。ただただ征服欲・所有欲から女を手元に置いておきたい矮小な男と見るべきキャラクターです。
そして、どんな女も物扱いで嫁がされる政略結婚こそ嫌なものです。ポリコレが真に否定すべき結婚がゴールはまさにこれだと私は思いますし、そこに関しちゃこの映画は前半うまくそこに絞り込んで問題提起してて、私はそこを高く評価はしています。ヘラは父親にも「私が家を出ていくのがお父様の望みなの?幸せなの?」と悲しみの叫びをあげていましたが、政略結婚してきた女全ての悲劇がここに詰まっている。愛のない結婚を強いられて、家を強制的に追い出される女は、全く意志が尊重されていません。これを肯定できる女は古今東西いないでしょう。
つまり本当にウルフがヘラを愛していたのなら政略結婚に便乗する形で告白するのはあまりにも下手を打ってるし、仮にヘラが本当にウルフのことを難からず思っていても、あのような政略結婚という形ではハイと言えるものも言えなくなるでしょう。そのへんの機微をもっとわかりやすくするために、一言だけ登場したゴンドールの婚約者をもっとストーリーに登場させて絡ませて比較しながら掘り下げていけばもっと面白くなれたんじゃねえのかなと私は思いました。原作ではゴンドールの援軍が最後に来てるのでねえ…なんで来なかったんですかねえ…。ゴンドール軍の3Dモデル作るのが面倒だったのかな。
まあとにかくヘラとウルフの間にはお互い愛があっても別に問題なく物語進行できてあの最期も肉付けもできて良かったんですよね、この脚本。前半部分のすれ違いっぷりはかなり上手く描けていたので、余計に後半の薄味投げっぱなしジャーマンぶりももったいなく感じるんですよね。政略結婚という形でなければ二人は…というIFをもっと想像させる作りのほうが観客も語りたくなる映画になっていたと思う。
ウルフが渾身の「そんなにオレが嫌いだったのか!?」とか言っても、ヘラは性愛を向けられて困惑しているお嬢さんの反応以上のものは返せなくなってるから、関係性の発展とか心情の変化とか見られずドラマ的には見ててつまらない感じになってて残念でした。あそこツダケンはめっちゃよく頑張っていたのに…ヘラはそんな反応しかできねえのかよ…ってなったな私は。
そもそもヘラのウルフに対する感情が全然よくわからないんですよね…。まあウルフのいいところって一つも描かれてないからしょうがないんですけど、それにしてもヘラは終始ウルフに対してはなにも悲しそうじゃないし親殺された同情すらもしないし何なら片目潰した負い目も感じてねえってさすがに何なんだこいつ。愛してないから当然だろと言われればそうなんですけど、他者に対する憐れみくらいは強調しても良かったんじゃないの…?とガンダルフじいちゃんもニエンナ様も仰られてる。
とにかく安直にロマンスを削った弊害で悲劇としてかなり微妙な話になってるんすよね。
せめてここでウルフはもっと「おまえの家族を皆殺しにすればお前は俺しか頼れなくなる」くらい思い切ったセリフ言ってくれれば、その後にガンガン狂ったように進軍してくるウルフの発狂具合にもヘラの覚悟完了ぶりにも説得性も生まれたように思えるんですが、それすらもしねえからキャラも観客も大きな流れにどうしようもできずただ流されてる感がつええ…。
ウルフが特に覚悟がいつも足りてない男に描かれてるのはヘラ上げのために徹底的に情けない男に描く必要があったのだろうが、そんな男を倒してカタルシスは生まれるのでしょうか?私を含めシナリオがヘボ…と冷めてる大半の客には生まれなかったのでしょう。ツダケンはそんなキャラに少しでも哀愁持たせようとしてて頑張ってたね…。
あと親を殺されてウルフが復讐にひた走って我を見失いすぎているキャラクターに困惑している映画視聴者は多いので、そこの理由付けで途中でサウロン製の指輪を嵌めている描写があってもよかったと思うんですよね。そうすれば後半で特に顕著だった直情的なウルフのキャラクターも指輪の魔力で狂ってるから仕方ないと素直に受け入れられたのですが…。
オークがついでのようになんかの指輪を回収作業してたんだから、そういうのもいけたやろがい!!とツッコミてえ。よしんば原作に配慮してナズグルにならん男にそんな指輪は嵌められないという判断したとしても、別にそれが本物のサウロン製の指輪でなくてもいいじゃないですかと対案出すよ。偽薬を飲んで風邪治った気になる人間がいるように、ウルフもただの指輪をはめて思い込みで気が強くなっておかしくなっても全然問題ないわけだし。ロードオブザリングなのに指輪が出てこない…とガッカリしてたライト層もチラチラ見たので、あんなちょい出しの仕方するくらいなら思いきって騙しにかかってもよかったんじゃない?
まあなんやかんや言いましたが、ただヘラの「王を討ち取る機会さえ見ていただけで終わった臆病者のおまえに挑戦する機会を再びやろう」みたいなセリフだけは文句無しにカッコよくて良かったですね。
このセリフのためだけにウルフが終始臆病者に描かれている采配はどん判とは言いたいですが。どうせなら強い男をぶちのめしたいだろ!女が腕力で男で勝てるわけないというリアルさはヘルム王の娘の時点でぶっ飛ばせることを製作側は思い出すべきだった。
しかしまじでここの花嫁衣装の決闘くらいしか熱くなれるシーンがないんで、つれえ映画といえばつれえ映画でしたね…。
もうちょっとシナリオをブラッシュアップしろフィリッパーー!!
ポリコレがうるさくてこれ以上は無理でギリギリを攻めた…と言い訳されたら、わかる…わかるよ…よく頑張ったよ…!!って感じで理解できるので私も何か悔しいですね。政略結婚のみにNGを突きつけるテーマなら正しいポリコレじゃないかと好きだっただけに…。
まあそんな感じでアニメスタジオと声優陣はよくやってるだけに色々惜しいシナリオが足引っ張りすぎて可哀想な映画だったという印象です。
アニオタ的な感想
アニメーション映画としては、まあしゃーねーのですが元が3Dなんで動きにも表情にも固さが残る感じなのが気になって日本製アニメという強みがあまり感じられないのが残念だったなとは正直に言いますね。
でもこれってモーションキャプチャー→3D→手描きという驚異的な手法で作画されてるみたいなんですが、それにしては…って感じでどこ褒めたらいいのか正直わかんないです。確かにアクションシーンが多い中よく動いてて凄いとは思うんですが、ぬるぬるに動いてるってわけでもないし、何より印象的なカットシーンがパッと思い出せないのって結構ヤバいと思いますよ…。見た人の半分くらいがヘルム王のラオウポーズあげるんじゃないか?私もそうだよ。でもメインはヘラとウルフの物語なのに、ラオウは北斗の拳のキャラなのに、なんかおかしいよなあ!?YOUはSHOCK!愛で空が落ちてくる!!俺の胸に落ちてくる!!(更に印象操作を試みるな)
そもそも全体的に絵コンテと演出があまりにも凡庸すぎませんか?そこに失望していますね…。もっと日本アニメ特有の外連味ある演出ってやつを世界に見せつけてほしかったですよ!別にトリガーしてるロードオブザリングが見たいって言ってるわけじゃないですが、それにしてもあまりにもなんか緩急がないつまんねえ演出してるから見てて盛り上がりどころがわからんちんすぎてガッカリしてますね。実写映画の世界観に寄せてるところは見事でしたが、それで日本アニメ的な演出が死んでしまったのなら残念すぎる話だ。
というかもはや日本アニメ的な演出を期待するどころか、普通の演出すらできていないアニメな印象ですね…。例えば初めてウルフが黄金館やってきたところでヘラが地味に嬉しそうな反応をしてるんですが、普通の演出なら印象残すために顔アップにせん!?なんでヘルム越しの奥にヘラ置いたレイアウトにするん!?しかも一瞬すぎるから映画館の私は気づかずスルーしてしまって、ネットに上がっている冒頭動画をもう一度見てやっとその反応を見つけられたくらいで、ちょっと演出が印象に残すって点があまりにもおざなりすぎててヤバい気がしますよ…。ウルフもあそこまでヘラに愛憎を向けているキャラクターならもっとソワソワしていいだろ、プライドと偏見のダーシーさんくらいまっすぐ彼女を見つめてろ。まあそんな感じで演出がアレなのもあって、この映画って全体的に印象に残りにくくて語りたいところがない映画…ってなりやすいんだと私は思いました。
3DアニメならPJの独特な背景ごとグルっと回り込むカメラワークもやりやすく、ヘラのシーンで何度かそれっぽい感じにチャンレンジしてはいたが…甘い!PJなら更にズームアップしながら回り込むんだわ!!粗を見せたくないのか背景がそこまで作り込んでないゆえにやらないのか手描き的に死ぬからやりたくないのか、なんか再現してるシーンすらパチモン感が強かったですこの映画のカメラワーク。もっとPJのカメラワーク研究してほしかった。できないなら日本アニメの演出を取り入れて誤魔化すべきだった。
なんというかPJの絵コンテと日本アニメの外連味ある演出が合わさり最強になるかもしれねえ可能性は秘めていたのに、実写映画に引きずられすぎてアニメという媒体の強みを出せずに全て中途半端な状態で出されたアニメって感じで私は悲しい…。スクエアとエニックスが合併するの!?楽しみ~~!!と期待したら今のスクエニが出てきた感じのガッカリ感を今私は味わっている……(若い世代にまるでわからん喩えすな)
まあでもアニオタだから色々言いたくなるのであって、物語の没入感を阻害する作りでは決してなかったのでそこは褒めるべきなんだと思います。地味だが大事な評価点ポイントよね。暗いシーンでもちゃんと人物がよく見える画面づくりしてるだけで褒めたくなるこの頃。
PJ実写映画で見たことある絵コンテオマージュシーンもかなりありましたが、同窓会したいオタクには盛り上がるところだったんじゃないでしょうか。ヘルム峡谷砦で扉を開け放つアラゴルンのシーンとか、エルロンド様がナルシル持ってきた馬鍬砦の遠景カットとか色々ありましたね。まあ私はオマージュシーンを大量にいれるよりは、ローハンの戦いと言ったらコレ!!みたいな何度も見返したくなるシーンを一つくらい気合い入れて作ってほしかった派なんですけどね…。既視感よりは新しいものを求めていたというか。
期待していた馬のシーンも頑張っていたとは思います。まあ進撃の巨人にはやはり負けていたが、あれとは馬の物量がダンチではあるので…しゃーないわ!!むしろ手描きアニメに馬は鬼門なのによりによってローハンの企画を押しつけてきたワーナーの頭のほうがイカれているとエルボー食らわせて胸ぐら掴みたい。製作期間も思ったより十分取らせなかったみたいでバカじゃねえの!?そんな中で神山監督はベストを尽くしたと思います。私はところどころ3Dのままでもしょうがないと思っていたのに、意地で全編手描きの根性見せたのマジでスーパーアルティメット偉業っすよ!!日本だからしかやれないっすよ、こんな仕事…(だから日本アニメ業界の根深いブラック社畜問題になってるわけだが…)
でもヘラ単騎のシーンはもうちょい頑張れたんじゃねえの!?と贅沢言っちゃう!!馬の作画は鬼門だとわかって言ってる許して!!それでもPJ実写映画のアルウェンVSナズグルの馬上チェイスシーンがあまりにも絵コンテ・スピード感・音楽の盛り上がり全てが神すぎて天才的な仕上がりでロードオブザリングシリーズに心奪われた身としては、あれに並ぶくらいのものは見たかったの!!ローハンは馬の国なんだしさあ!!そもそも私はアラゴルン・レゴラス・ギムリがエオメルたち騎兵にグルグル囲まれるアレも大好きなんで、実写シーン再現オマージュするなら一番見たかったやつをスルーされて地味に怒ってるんすよ!!まあ手描き作画的に無理と言われたら理解はしますけどね!!!!!あれは実写か3Dでしかやれないわな~~。
ぶっちゃけ3Dでも良かったんじゃねえか、この映画?
いや違うんだよ!私はロードオブザリングがアニメ化するならもちろんこの手描きアニメ方式がベストだとは思っているんだよ!?3Dアニメのロードオブザリングって絶対に手描きアニメよりも違和感出ると思うからね!?でもよりによって馬馬馬なローハンを選ぶからそれなら3Dアニメのほうがもっと他に余裕ができて色々できたんじゃねえのって思っちゃうだけでさあ!?
つまり全編手描き映画なら相応しい時代がもっとこう…他にあったやろ…!!と叫びたいんですよね(力の指輪とシルマリルNGのせいで私もパッと思いつけないが)
つまりこの映画、企画の敗北すぎる。
なんかワーナーが『手描きアニメだから失敗したね…』とかいう反省会してたら絶対に許さん!!!!!!!!おまえらのコンセプトがそもそも悪いと1日本人1アニオタ1トールキンファンは思う!!!!!!!!!!!!!!!(なにこのやべえ三位一体オタク)
ポリコレ卒業してからワーナーはまた企画もってきてください。以上です。
まあそんな感じでローハンの戦いの感想終わります。
なんやかんや言いましたがPJの作った中つ国世界観にまた帰ってこれて本当に良かったので、また外伝的な作品を作ってくれたら嬉しいです。
まあメディア化して面白いところってもうシルマリルの物語しか残ってないんですが…シルマリル実写化は人類が頭ポリコレを滅ぼしたときにすればいいから……そのときはPJも私たちもとっくに西に渡ってそうですけどねHAHAHA!定命の者でつれえわ!!
ここまで読んでくださってありがとうございました!